2014年4月18日金曜日

キロクの断片のきおく 001

「オモイデ」シリーズと並行して、福岡県文化会館/福岡県立美術館にまつわる新聞記事や当時の記録を時系列は気にせず散発的に紹介していこうと思いますが、やっぱり最初は昭和39年11月3日、文化会館オープンを知らせるこの記事と写真から。

昭和39年11月3日 朝日新聞

この写真、かなり貴重です。空撮しているんでしょうね、この角度からの写真ははじめて見ました。

正面玄関が今の県立美術館とはちがって市民会館と向かい合うようにあったこと(旗を立てるポールが4本立っています)、タワーの周囲が池になっていたこと、本館の天井にドット状の意匠が施されていたことなど、いろんなことがよく分かる写真ですが、なにより度肝を抜かれたのはタワーの天井。なんと格子柄に抜けているじゃありませんか!

タワー上部、南北の側面が格子柄に抜かれていてそこに雨が降り注ぎ、その雨を下に落とすために東西壁面に「ガーゴイル」という突起がつけられたこと、しかし現実的な問題からすぐに内側に壁が立てられて雨風が遮られ、ガーゴイルも用途のない意匠の遺物としてだけ残っていることは知っていたのですが、当初天井まで抜かれていたとは...。

実用上の問題はいろいろあったんでしょうけど、設計した佐藤武夫の心意気というかアヴァンギャルドな実験精神をビシバシ感じます。

さらに周囲を埋め尽くすバラック住居群。これは当時の引揚げ者たちの住居で、市民会館・文化会館の建設および須崎公園の整備に伴い立ち退きが進められました。

立ち退きされる方々のための建設中のアパート(公団)がその横に写っていますね。文化会館とほぼ同じ時期にできたことが分かりますし、奇しくも今公団は立て直し、こちらは耐震工事真っ最中。

いやあ、興奮したなあ。


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